不倫慰謝料に関する交渉が決裂した場合の対応方法について

文責:代表 弁護士 西尾有司

最終更新日:2025年05月21日

1 不倫慰謝料に関する交渉が決裂したときの選択肢は2つあります

 不倫慰謝料の請求をする場合、一般的には、まず不倫をした配偶者や不倫相手と話し合いを行います。

 もっとも、条件等について合意に至ることができず、交渉が決裂してしまうということもあります。

 相手が話し合いの申し入れに対して無視を決め込むということも、現実的にはあり、これも交渉決裂の一種といえます。

 交渉決裂時に取り得る選択肢は、基本的には次のいずれかとなります。

 ①訴訟を提起して不倫慰謝料の支払いを求める

 ②時間的、金銭的、精神的負担等を考慮し、不倫慰謝料請求をやめる

 以下、それぞれについて詳しく説明します。

2 訴訟を提起して不倫慰謝料の支払いを求める

 交渉で解決できなかった場合、現実的に不倫慰謝料の支払いを求める方法は訴訟となります。

 訴訟を提起した場合、判決に至るまでには、通常6か月~1年程度の期間を要します。

 もっとも、確定判決を得ることで、相手の財産を差押えて強制的に慰謝料を回収することも可能となります。

 また、訴訟に発展すると、例えば当事者尋問の際に、公開された法廷で質問に答えなければならなくなる可能性があるなど、相手に対する心理的な圧力がかかります。

 そのため、訴訟外での示談に応じるようになる可能性があります。

3 時間的、金銭的、精神的負担等を考慮し、不倫慰謝料請求をやめる

 訴訟を提起する場合、弁護士費用等(着手金、実費、出廷費、成功報酬金等)がかかるほか、長期間争いの当事者となり、相手からの反論にも対応し続ける必要があります。

 弁護士費用等は、一般的には数十万円になると考えられます。

 訴訟提起から判決までの期間は、6か月~1年間程度であることが多いと考えられますが、仮に相手が控訴をした場合、さらに長くなります。

 また、仮に確定判決を得ても、相手に支払い能力がない場合、事実上慰謝料の支払いを受けられず、時間、労力、費用が無駄になってしまうという可能性もあります。

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